うつ病と若年性認知症

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精神科や心療内科を受診中の方で、最近物忘れがひどく「頭がぼーっと」してしまう、などの症状を感じられる方は多いかと思います。

 

中にはあまりに症状がひどく、非常に心配される方もいらっしゃいます。

 

うつ病になってしまうと、ノルアドレナリンやセロトニンと呼ばれる脳内の神経伝達物質が不足します。

 

これらの物質は、集中力・学習能力・記憶といったことに深く関連しているため、物忘れがひどくなってしまうのです。

 

また、抗うつ剤は副作用として「脳をリラックスさせる効果」があり、それが原因でぼーっとしてしまいます。

 

ところが、そうした原因とは違う原因によって、物忘れやぼーっとする症状が発生する可能性があります。

 

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それは「若年性認知症」です。

 

若年性認知とは、65歳未満で発症する認知症の呼び方です。

 

脳機能の低下が起こり、記憶障害や見当識障害（時間や方向感覚が無くなる）、認知機能障害（計算力、判断力などの低下）が発生します。

 

厚生労働省の調査では、10万人あたりの若年性認知症数は47.6人、全国での患者数は3.78万人と推計されています。

 

若年性とはいえ「認知症である」ということは確かであり、その治療方針は高齢者の認知症の治療法に準拠します。

 

うつ病の治療とは異なるので、早めに主治医に相談する必要があります。

 

若年性認知症は稀な病気ではあるのですが、発症する可能性が全く無いとは言えません。

 

うつ病との鑑別は難しいものがありますが、「このような場合は若年性認知症かも？」というポイントがあります。

 

まず「血管性の疾患がある」ことです。

 

高齢者の認知症と違い、若年性認知症の原因は「脳血管性」であることが多いのが特徴です。脳血管性とは、脳内の血管のトラブルによって発症することです。

 

高血圧症や高脂血症を患っている場合や、脳梗塞・心筋梗塞の既往がある場合は注意が必要かもしれません。

 

次に「症状の悪化」です。

 

認知症の場合であれば物忘れなどの症状は悪くなる一方で、自然に改善することはありません。

 

確実に程度が悪くなっているという場合には、若年性認知症の疑いがあります。

 

ずっと同じような症状で、薬の増減で状態が変わるという場合であれば、若年性認知症の可能性は低いと考えられます。

 

3つめに「生活習慣の乱れが認められる」ことです。

 

不規則な食生活やアルコールの摂取、喫煙などは動脈硬化を誘発する可能性があります。特に、アルコールを長期的に大量に摂取した場合であれば、「アルコール性認知症」の疑いもあります。

 

最後に「精神症状を伴うかどうか」です。

 

「うつ病が原因の思考停止」と「認知症が原因の物忘れ」は、一見すると同じように見えるので見分けることは非常に難しい状態です。

 

その相違点として、若年性認知症の場合であれば精神症状である「気分の落ち込み」を伴うことがありません。

 

以上のポイントを確認し、当てはまる項目があれば主治医に相談してみましょう。

 

●うつ病と若年性認知症の違いのまとめ

 

若年性認知症とうつ病の症状は似ている部分があり、見分けが付きにくいと言われています。

 

ご紹介したポイントで気にかかるものがあれば主治医に相談することです。

 

日頃から診察してもらっていますから、本当に検査が必要か？など客観的に判断してもらうことができます。

 

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