仮面うつとは

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うつ病と一言で言っても様々なものがあり、中でも仮面うつ病と呼ばれるものは、腹痛や頭痛といった症状（仮面）が、うつ病の特徴的な症状を隠してしまうため、うつ病ではない別の病気に見えてしまいます。この仮面を見破れずに、症状に対して治療を行っても効果は得られません。

典型的なうつ病の患者さんは、「なにをしても楽しくない」「一日中気分が落ち込んでいる」と話します。
しかし、仮面うつ病の場合、「頭痛が続いている」「腹痛が頻繁に起こる」など、うつ病とは違う病気があるような症状を訴えます。

このような症状のため、身体の病気を考えて内科を受診する方が多くいますが、検査しても異常は見つからないし、薬の効果もみられません。不思議に思って詳しく症状を聞くと、これらの症状の裏に抑うつ症状がわずかにみられるのです。

仮面うつ病の場合は、倦怠感や意欲の低下など特徴的なうつ病の症状を訴えるのではなく、「偏頭痛が治まらない」「耳鳴りが続いている」といった具体的な身体症状（仮面）を訴えることが多く、うつ病ではない他の病気に見えてしまいます。

しかし、うつ症状は仮面で見えにくくなっているだけで、ないわけではありません。本質は同じうつ病です。同じうつ病なので、抗うつ薬がよく効きます。

「ずっと下痢が続いているんです」という訴えから、即座に仮面うつ病を見つけることは困難ですが、様々な検査をしても他の病気が見つからない場合は仮面うつ病を疑い、他の症状を注意深くみていく必要があります。

・精神エネルギーの低下がある

抽象的な表現になってしまいますが、具体的にはやる気や感情、欲などです。
仮面うつ病の患者さんは、本質にあるのはうつ病という精神の病気なので、精神エネルギーが低下しています。

・身体症状の出現が内科的に説明がつかない

仮面うつ病でみられる身体症状は多種多様です。

例えば、「下痢が止まらない」「お腹も痛くて」「吐き気もあります」という患者さんなら、まず胃腸系の病気を疑います。
しかし、仮面うつ病の患者さんは「下痢が止まらない」「動悸もするし」「あと目が見えにくい」と、複数の臓器の症状を訴えます。
このように内科的には考えづらい症状の現れ方があると、仮面うつ病の可能性が出てきます。

・性格傾向

うつ病には、かかりやすい性格というのがあります。規律を重んじる、責任感が強い、他者との衝突を避けるなどの性格がこれに当たります。
このような性格の患者さんが何らかの身体症状を訴えるも、他の病気が見当たらないような場合には仮面うつ病を疑います。

うつ病にかかりやすい性格があるというお話をしました。規律を重んじる、責任感が強い、他者との衝突を避けるなど、このような性格の方は「自分に厳しい」という特徴もあります。

このため、「興味がもてない」「やる気がでない」「集中できない」といった精神症状を自分で許せないため、行き場をなくしたストレスが身体症状として現れると考えられています。

仮面うつ病の場合もカウンセリングを行い、第一は休息をとることを勧めます。また、うつ病の治療と同様に薬物治療が主流です。

ただし、仮面うつ病の患者さんとしては身体症状に苦しんでいるので、頭痛や腹痛に対する対処療法も同時に行いますが、あくまでその場しのぎの治療であり、仮面うつ病を治すものではありません。

なので、まずは患者さん自身が自分はうつ病であることを受け入れるところから始めねばなりません。身体症状が主な症状なので、うつ病といわれてもなかなか腑に落ちないでしょう。

また、仮面うつ病にかかる患者さんの性格として、自分に厳しいので、「自分が精神的に弱いのか」と考えてしまうと、これも受け入れられない原因になります。

うつ病は誰でもなる病気で、こころが弱いわけではないことを理解して、自分がうつ病であることを受入れることがとても大切です。

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